本学会は、国際的な細胞外小胞(EV)研究の加速に対応し、日本におけるEV研究の発展を目指して10年あまりの間、ISEVなどの世界的学術団体と連携しながらEV研究者の情報発信・共有の場を創出してまいりました。また、本学会の活動では、特定の疾患や研究領域に限定されることなく、微生物から植物、高等生物に至るまで生命の多様性を幅広くカバーし、基礎科学から臨床応用に至るまで幅広い分野でのイノベーションを促進しており、この技術革新の中で、産学連携は不可欠な要素です。特に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)がEVを利用した治療用製剤の開発に関するガイドラインを提供しています。これは、安全性と品質を確保するための大切なステップであり、我々はこれを支持し、EV製剤が臨床での利用に一歩近づくことを期待しています。しかし、EVに関する情報の誤解や誤用が散見されるため、正確な情報の普及と教育の重要性が増しています。本学会では、EV研究の進展とその応用における厳格な品質管理と規制への理解を深めることを目指しています。
第11回の日本細胞外小胞学術集会は、2024年10月28日~10月29日に新宿の京王プラザホテルにて開催いたします。昨年、我々は第10回の大会を迎え、細胞外小胞研究の節目の10年を祝いました。そして今年は「明日のサイエンスを切り開くエクソソームの世界 -Messages from Cells-」をテーマに、新たな10年への第一歩を踏み出します。この小胞がもつ大きな可能性はまだまだ未知数です。我々はその神秘に迫り、人類の健康と幸福にどのように寄与できるかを一緒に考えていきたいと思います。本大会では、EVが持つ無限の可能性に焦点を当て、基礎研究から臨床応用に至るまでの最新の研究成果を共有するとともに、今後の未来においてエクソソーム研究が直面する課題についても深く掘り下げていく予定です。実り多き学術集会となりますよう,御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
2024年4月吉日
- 第11回日本細胞外小胞学会学術集会 大会長
東京医科大学 分子病理学分野 - 黒田 雅彦